2009/03/25

躁と鬱

「躁」
World Baseball Classic のV2達成。

決勝は本当にいい投手戦でした。

総合力では明らかに日本が勝っていましたが、
(ヒット数と防御率ではっきりと出ている)
そうは行かないのが野球。

いくら選手層が厚くても、全員は使えませんし、
どんなに有能な選手でもスランプになるし、怪我もする。

あれだけ好調だった青木も、
最後の二試合は、やや不調気味に終わった。
(あと二試合好調を維持していたら、MVP取れたと思うが。。)

逆にそれを補うかの様なイチローのバッティング。

彼は、相手投手の得意球ばかり狙ってたので
(おかげで、たった一本のヒットでも相手投手が崩れ始める)
苦しんでいた感じはあるけど(マスコミに、調子はどうですかなんて、アホな質問されたせいもある)
なんだかんだで、最後の最後に彼らしいバッティングを出来ていた。

苦しんだのは抑えピッチャーの不在。
期待していた藤川の調子が上がらず、
急遽ダルビッシュ。

原監督のこの采配は、シーズン中に上原を抑えにまわした事と同様
納得がいかない。

ダルビッシュの立ち上がりの悪さを、もっと考慮すべきだった。

まぁしかし
勉強がひと段落着いて、燃え尽き症候群になりかけてた僕にとって
ちょうどいい気分転換になった。

「鬱」
小沢秘書の起訴と、彼の続投が決定的になった。
反発しているのは、小沢と距離を置く、前原系、岡田系の議員たち。
岡田は別として、前原が民主党にいる理由がまだ良くわからない。
自民党もそうだが、もうちょっと主義心情で政党を小分けにしないと
いくら政権を取って、内閣を組めるからといっても、見かけと中身が違うのでは、
国民もついていきにくいだろう。

ただ、小沢がいないとまとまらない民主党も問題だ。
彼がいるうちに、次のリーダーを育てなければ二大政党は無理だろう。

注目すべき記事
読売の、元東京地検特捜部と、元検事に対する取材

元東京地検 宗像紀夫・中央大法科大学院教授
「特捜部は、従来の価値基準を変えて摘発した」
「政治資金規正法上、最も悪質なのは、収支報告書に記載しないヤミ献金。今回は、献金自体は記載されており、透明化の義務はある程度果たされていた」
「政治状況が緊迫する今、いきなり野党第1党の党首の秘書を逮捕したのは、やや乱暴だったのではないか」

元検事 郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授
「西松建設の政治団体がダミーなら、例えば業界団体が設立する政治団体はどうなのか。今回の事件が違法だとしても、ヤミ献金ではないので悪質性は低く、罰金刑が妥当。検察は、なぜ今回の事件を摘発したか十分に説明する義務がある」

元最高検検事 土本武司・白鴎大法科大学院長
「規正法は、政治と企業の癒着構造をただそうと、改正を重ねてきた。企業献金にダミーの政治団体を使うような、手の込んだ犯罪を立件したことは、一罰百戒的な意義がある」
「捜査がこれだけで終わるとは考えられない」

元東京地検特捜部長 河上和雄弁護士
「見返りを期待する企業が、その姿を巧妙に隠して献金した極めて悪質な事件。政治腐敗の温床となってきた企業献金のあり方が問われている中で、特捜部の摘発は当然だ」
「資金管理団体に加え、政治家の『第2の財布』である政党支部への献金も立件され、両団体の代表者である小沢代表の責任は免れないだろう」

検察や検事の中でも意見の分かれるような逮捕劇だったことが伺える。
一方で朝刊で出揃った社説を見ると
一様に今回の続投に疑問を呈している格好だが

日経新聞
西松建設以外のゼネコンも公共事業の受注を狙った“隠れ献金”を、各地で影響力を持つ政治家相手にしていた疑いはないのか。そこまで捜査の対象を広げなければなるまい。
でなければ小沢氏側への献金が際だって悪質だったとの説明は根拠を失う。捜査の進展を注視したい。

読売新聞
国民への説明が求められるのは小沢代表だけではない。
 検察当局は事件について、「政治資金の実態を偽ることは国民の政治的判断を歪(ゆが)める。悪質な事案で看過できない」と強調する。
 ただ、総選挙が迫る中での捜査着手は政治的な影響が大きい。
 社会的な関心も高い。西松建設のダミー政治団体から献金を受けた他の与野党議員のケースと、どう違うのか。
 検察当局は、事件の徹底捜査に加え、こうした疑問にも、より丁寧に答えるべきだろう。


と、今回の逮捕劇が、政権奪取が期待されていた野党の党首だけに
一罰百戒のいきすぎでないか。
本当に他の議員は百戒だけでいいのか。
といわんばかりの問いかけである。

東京地検特捜部は、警察組織と違い、
政府や自治体と利害関係をあまり持っていないから、今回のような逮捕劇が出来た。
ただ、40人程度の小規模な団体であることを忘れてはならない。
捜査規模拡大には、警察に捜査本部を置くことが必須になる。
そこに、(政府、地方自治体含めて)与党議員たちの圧力はかからないのだろうか。
大きな疑問だ。

一罰百戒とはいっても、今回の事件は、
何年か前までやっていたことで、あくまで過去の事案についてである。
現在進行中の似た違反は本当にないのか?
あったとして(多分あるし、沖縄の開発利権関係ですでに与党有力議員が噂されている)、
それを百戒で済ませてしまうことには疑問を感じる。

以前も述べたが、
一罰百戒とするよりも
全ての違反について、明らかにし、
常態化、慢性化していた場合には、大きな政治混乱を引き起こすだけなので
「これまで」には目を瞑って、「これから」の違反に対して
厳粛に対処すべきである。

それが「初犯」という言葉の意味ではないだろうか。

今回の一罰百戒は、あまりにも政治的意味を持ちすぎたが故に、
一罰百戒の脆さも露呈した気がする。

心から、「一罰百戒」の是正を望む