そういう言葉が最もよく似合うこのCD。
僕が敬愛してやまないPerthy Heathが出演したアルバム。
50's-60's の彼の名演は数多あり、
そのすばらしい演奏は、もっと評価されるべきだと思うけど、
70's以降のアルバムとなると、録音状態が悪いこととも起因して、
めっきり彼の名前が聞こえてこない。
そこへきて1998年のこの録音。
同時に買った1997年のアルバムは、録音状態はイマイチだけど、
この98年のアルバムは、悪くはない録音。
彼のすばらしい演奏が楽しめる。
Perthy Heath(パーシー・ヒース)の名前が売れたのは
MJQ(Modern Jazz Qurtet)の名前が売れた頃。
MJQのドラムConnie Key(コニー・ケイ)との名コンビは、
ジャズ史上、他の追随を許さないほどの完成された演奏を生み出してきた
そういっても、過言ではないと思われる。
パーシー・ヒースの特徴は、絶妙とも言えるリズム感。
ジャズベースは、スタイルやテンポによって、
そのリズムを刻む位置を微妙に変化させなければ、うまく調和しないのだが、
パーシー・ヒースは、まさにモダンジャズ、スイングジャズ、ウエストコースト
と続く流れにあって、ミドルテンポでの刻みの妙を持つ、すばらしいベーシストだと思う。
対比されるイーストコースト、バップ、モード、コンテンポラリー
と続く、いわゆる現在のポップミュージックの音楽理論を担っている、
前衛的で、理論的、複雑ともいえる
バークリー・メソッドの元にある音楽とは対照的に、
ウエストコーストジャズのエネルギーは、その音楽スタイルの確立に向けられている。
だから、完成度の高さや、グルーブ(完成度の高い息の合い方)
または、より安定感のある軽快な音楽性のほうへと向けられた。
パーシーはその中にあって、重すぎず、軽すぎないリズムを刻みだす。
そのリズムは、無味乾燥ともいえるウォーキングの中にあって、
じんわりとこみ上げてくる温もりを、我々に与えてくれる。
フレージングやバッキングで
その存在感を示そうとするベーシストが体勢を占める中にあって、
「単なる」ウォーキングでその存在感を示す、とてつもないベーシストだ。
つまり、これぞ完成されたベース・ウォーキングといえる人物だ。
そんな彼の、最近の録音が手に入った。
敬愛する、彼の演奏がまだあるという意義は、
果てしなく大きい。
生きていたら、ぜひお会いして、心から感謝をしたいものだ。
あなたがいてくれて、本当によかった。
どれだけ、あなたから、
幸せを与えてもらっただろうかと。