2007/11/05
小沢辞任会見、一部始終
何はともあれ、小沢一郎という人は、
政治家だなぁと思いました。
辞任という決断の是非については、異論があると思いますが、
政策を実現するのが政治家だとした、上での、
連立構想を受け入れる考えを持った点については、
かなり冷静に、物事を見ていると思います。
民主党の政策実現が可能
+
政権を実際に担当することで、
それに値する政党か、真偽を問い、
政党としても、具体的に経験を積んで成長する
という、大きなメリットがあります。
単に、与野党で対立して
さまざまな議題を、政争の具とするのでなく、
実現することが、政治なんだという強い主張は、
かなり、もっともらしさがあるでしょう。
それと、もうひとつ。
安全保障政策の大転換についてです。
現在の日本の安全保障政策は、
完全に米国一辺倒であり、米国が十分な理性を持つ国であるならば、
それで、よいのですが、
米国という国は、非常に理不尽で、節度のない国であります。
国というのは、さまざまな形があるので、一概に言えませんが、
国内での格差対策に対して、意欲を示さない(共和党)点や、
世界と警察といきまいて、やたらと戦争をやりたがる(共和党ネオコン)
(この点に関しては、共和党支持層の、軍需関係企業が見え隠れする)
国連においても、独断的な行動が多い
などの点からして、
世界のあらゆる国に対して、「平和を維持する」上での
存在意義は、あまり高くありません。
その割りに、安全保障上の存在意義が大きいのは、
ポスト冷戦において、米国が国家としては、
もっとも強い力を維持しており、
独断が許されてしまうような状況下にあるという、
よろしくない状況があります。
それに対して、第三軸として動くのがEUの独仏であり、
加えて、必ずしも足並みがそろっているといえないが、
上海協力機構、つまりロシア、中国です。
このような状況下で、日本、韓国は、
経済力を指標とするならば、国力としては、
明らかに世界有数の国であるにもかかわらず、
安全保障政策から、米国への追随にとどまっている点は、
大きく憂慮すべきでしょう。
何をもってして、そういうべきかと申しますと、
米国の戦争癖と、イスラエルとの根深い関係が、
西アジアの外交的関係と、
アフリカ、南米での平和問題に、
大きな影を落としているという点です。
この点に関して、日本の政策は、
パレスティナ問題に対しては、微妙な姿勢を維持しているものの、
イランや、その他の国に対しては、米国とは異なり、
独自路線を敷き、良好な関係を維持してきました。
しかし、この良好な関係は、
9・11テロをきっかけとしての、米国の、
イスラム教徒に対する、強い圧力の下、
日本においても、イランとの石油資源共同開発を、
足踏みさせられ、結果、中国に横取りされるなど、
さまざまな点で、悪影響が出ていると考えられます。
また、アフリカ、南米に対しては、
キューバ・ブラジルなどとは、良好な関係を維持しているものの、
特別かつ積極的関係を築いてはおらず、
その原因として、米国への微妙な配慮があってもおかしくないと、
考えるべきだと思います。
こうした立場に立つと、
小沢が、承諾を取ってきた、
国連活動のみに、自衛隊活動を限定するという決断は、
米国が、大きな力を持つ国連であったとしても、
拒否権をもつ、第三軸国家、仏独、中露 の拒否権は大きく、
自衛隊活動が、明らかに憲法の旨に沿った、
『日本國民は、恒久の平和を念願し、人間相互の關係を支配する崇高な理想を深く自覺するのであつて、平和を愛する諸國民の公正と信義に信賴して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、專制と隷從、壓迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる國際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の國民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する權利を有することを確認する。』
という部分は、国連の平和維持活動、
ひいては、国連の存在意義に見事に合致するものであり、
専守防衛の自衛隊が、海外派兵されるその意義を、
憲法前文から見出せる、新たな解釈を持ち出したといえると思います。
こういった、解釈は、
小沢氏のおっしゃるとおり、革新的な憲法解釈であり、
これからの日本の外交姿勢そのものが問い直される
大きな方向転換となるのは、間違いないでしょう。
彼のいうところの
「基準なき海外派兵はやめるべき」
という主張が、もっともならば、
彼が、辞任に値するととってもおかしくないと考えるべきでしょう。
しかし、小沢一郎という政治家は、革新的な行動ばかりとっていると思えます。
先の選挙の時も書きましたが
(拙著、春の小沢)
異論は、あったとしても
急進的な、日本の戦後保守を脱却するべきその方向を、
提示している、大人物であることには間違いないと感じ入ります。